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結論:売ると決まっているなら、車検は通さずに売ります
「車検があと1〜2か月で切れる車、通してから売ったほうがいい?通す前に売ったほうがいい?」と聞かれたら、自分は「売ると決まっているなら、車検は通さずに売ったほうがいいです」と答えます。
理由は、車検を通した車と通していない車で、買取額にそこまで大きな差は出ないからです。買取額を上げたいだけの目的で車検を通しても、上がる額より、車検を通す費用のほうが大きくなることのほうが多いと見ています。
- 売ると決まっている → 車検は通さずに売る
- 乗り続ける → 車検がないと走れないので、通す
- 迷っている → 車検の見積を取るのと一緒に、先に査定を受けて「売ったらいくらになりそうか」を知る
※これは整備士としての自分の見方です。「差はそこまで大きくない」という部分は、金額や割合を調べたものではありません。下で、公式の資料と照らし合わせて確認したことを書きます。
同じ向きのことを、業界団体も書いています
日本自動車購入協会(JPUC)の売却ガイド(2026年2月2日更新)には、「小キズを修理したら査定額がアップするのか」「車検を取ってから査定を受けたほうが有利か」という疑問について、修理代や車検費用以上に査定額が上がることは少ないと思われる、と書かれています。整備士の見方と同じ向きです。ただし「思われる」という書き方で、数字で示したものではありません。
公式の基準で見る:車検の残りは「加点」されますが、残り3か月までは0点
中古車の査定の基準は、日本自動車査定協会(JAAI)が「中古自動車査定基準」として定めています。そこに「車検残加点」の表があります。2026年4月版の表の一部を、乗用車系(軽自動車を含む)で抜き出します。単位は「点」です。
| 車検の残り | 特 | I | II・III | IV | 軽 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1〜3か月 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 6か月 | 7 | 7 | 5 | 5 | 2 |
| 12か月 | 20 | 19 | 16 | 15 | 7 |
| 18か月 | 41 | 38 | 34 | 27 | 18 |
| 24か月 | 70 | 66 | 51 | 44 | 30 |
| 36か月 | 106 | 90 | 75 | 56 | 42 |
読み方は次のとおりです。
- 残りが1〜3か月のうちは、どのクラスも0点です。車検があと2か月で切れる車は、この基準では、車検の残りによる加点はありません。
- 車検を通した直後は、残りが約24か月になります。そのときの加点は、軽自動車で30点、乗用車はクラスによって44〜70点です。
- 点数は、1点=1,000円と読めます。協会の計算例の書き方からの、自分の読み取りです(協会が明記しているのを確認したわけではありません)。そう読むと、通した直後の加点は、軽自動車で約3万円、乗用車で約4.4万〜7万円です。
- クラス(特・I・II・III・IV)は、車種で決まります(協会のクラス分け表)。自分の車がどのクラスかは、査定のときに聞くのが確実です。
- この表は、査定士が使う基準です。買取店が実際に、この金額を上乗せして見積を出すとは限りません。
通す費用を並べると
国土交通省の資料では、車検の費用は、国や保険会社に払う「法定費用」(自動車重量税・自賠責保険料・検査手数料)と、整備工場に払う「点検・整備の料金」の2つに分かれています。
法定費用のうち、金額が公表されている重量税と自賠責保険料を、2年車検・エコカー減税なしの例で並べます。
| 車の種類 | 重量税(2年分) | 自賠責保険料(24か月) | 小計 |
|---|---|---|---|
| 軽自動車(13年未満) | 6,600円 | 18,660円 | 25,260円 |
| 軽自動車(13年経過) | 8,200円 | 18,660円 | 26,860円 |
| 乗用車 1トン以下(13年未満) | 16,400円 | 18,560円 | 34,960円 |
| 乗用車 1トン超〜1.5トン(13年未満) | 24,600円 | 18,560円 | 43,160円 |
| 乗用車 1トン超〜1.5トン(13年経過) | 34,200円 | 18,560円 | 52,760円 |
- 検査手数料と、整備工場の点検・整備の料金は含まれていません。整備の料金は、車の状態や店で変わります。
- 重量税は、車の重さと、初度登録からの年数で決まり、13年経過すると上がります。エコカー減税の対象の車は、金額が変わります(国土交通省の税額表・2026年5月1日から)。
- 自賠責保険料は、2026年11月1日以降に始まる契約から、新しい料率になりました(離島・沖縄県を除く地域の金額)。
この数字と、さきほどの加点を並べてみます。
- 軽自動車:通した直後の加点は30点(約3万円と読んだ場合)です。法定費用の小計だけで約2.5万円かかり、そこに検査手数料と整備の料金が加わります。加点の分は、法定費用でほぼ使い切り、整備の料金の分は戻らない計算です。
- 乗用車(1トン以下・加点が44点のクラスの場合):加点は約4.4万円、法定費用の小計は約3.5万円で、差は1万円に届きません。そこから検査手数料を引くと、整備の料金が1万円もかからなくても、費用のほうが大きくなります。
ただし、整備の料金がほとんどかからない車や、加点の大きいクラスの車では、差が小さくなることもあります。自分が「通さずに売ったほうがいい」と答えるのは、車検には法定費用に加えて整備の料金もかかり、買取額の上がり方が、その合計に見合わないことが多いと感じているからです。
もうひとつ、通した直後に売っても、払った重量税が戻るわけではありません。国税庁が案内している重量税の還付は、車を解体して抹消登録する場合の仕組みです。売って名義を変えるだけの場合は、この案内には出てきません。
通さずに売るなら、「車検が切れる日」までに動く
通さずに売ると決めたら、気をつけたいのは、車検が切れる日です。
- 車検が切れた車は、公道を走れません。茨城県警察の案内では、道路運送車両法第58条第1項などにより、車検切れの車の運転は禁止されています。違反すると、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、違反点数は6点です。
- 売るまで自分で乗るなら、引き渡しの日が、車検の切れる日より前になるように日程を組みます。査定を頼むときに、車検が切れる日を伝えて、引き渡しの日程を店に確認しておきましょう。
- 車検が切れた車は、自賠責保険も切れていることが多いとされています。自賠責保険に入っていないと、車検を受けることもできません(どちらも茨城県警察の案内)。
車検が切れてしまったときは、「臨時運行許可(仮ナンバー)」という仕組みがあります。横浜市の案内では、次のとおりです。
- 車検が切れた車などを、法律で決められた目的に限って、一時的に走らせる許可です。目的は、運輸支局などで車検(継続検査)を受けるために運行する場合や、販売業者が販売のために回送する場合などです。
- 申請には、許可の期間中有効な自賠責保険証の原本が必要です。
- 手数料は750円、許可期間は目的地によって3〜5日以内です。
車検が切れた車を、買取店へ運ぶために仮ナンバーを使えるかは、自分は確認できていません。お住まいの市区町村と、買取店に聞いてください。
売る先に迷ったら、査定を比べる方法もあります
売ると決めたら、売る先を1社に絞らず、いくつかの店の査定を比べるほうが、納得して決められます。申し込むときは、車検が切れる日も伝えておきましょう。査定の前にやること(直さずに見た目だけ整える、整備記録簿をそろえる、など)は、「車を売る前の修理は損になりがち」で、整備士の目線から書いています。
査定を申し込めるサービスの一つに、カーネクスト
があります。(「カーネクスト」の部分は広告リンクです。このリンクから申し込みがあると、このサイトに報酬が入ります)
- カーネクストの公式サイトでは、査定から引き取り、各種手続きまで無料と案内されています。引き取りは、全国に出張で対応(一部の離島を除く)とされています(2026年11月4日に公式サイトで確認)。
- 申し込みは、公式サイトのWebフォームか、電話でできます。
- 自分(整備士)はカーネクストを使ったことがないので、実際の査定額や対応の良し悪しは書けません。
- 1社だけで決めず、ほかの店の査定とも比べて、納得してから決めてください。
まとめ
売ると決まっているなら、車検は通さずに売ります。車検の残りは査定で加点されますが、日本自動車査定協会の基準では、残り3か月までは0点です。通した直後の加点は、軽自動車で約3万円(1点=1,000円と読んだ場合)で、法定費用の小計だけで約2.5万円かかります。整備の料金が加わると、通す費用のほうが大きくなりやすい、というのが自分の見方です。通さずに売るなら、車検が切れた車は公道を走れないので、引き渡しの日が、切れる日より前になるようにします。
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この記事の確認の記録
確認日:2026年11月3日(下の資料の原文を読んで、この記事の内容と照らし合わせました)
確認に使った資料
- 日本自動車査定協会「中古自動車査定基準I」2026.04版(加減点基準・車検残加点)(2026年3月30日公開)
- 日本自動車査定協会「変更箇所のお知らせ 2026.10~」(自賠責残価表のみの変更)(2026年9月30日公開)
- 一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)「安心して車を売却するために(第2回)査定を申し込む・査定を受ける準備をする」(ページの更新日は2026年2月2日)
- 国土交通省「車検の費用の基礎知識」(車検費用の内訳)(ファイルの更新日は2024年9月・内訳の考え方のみ参照)
- 国土交通省「2026年5月1日からの自動車重量税の税額表」(2026年5月1日から2028年4月30日までの税額)
- 損害保険料率算出機構「自賠責保険基準料率届出のご案内」(2026年4月30日届出)(新料率は2026年11月1日以降に始まる契約に適用)
- 損害保険料率算出機構「自動車損害賠償責任保険基準料率」(2026年4月30日届出)(24か月契約の金額を参照)
- 茨城県警察「無車検・無保険自動車の運転禁止!」(ページの更新日は2025年9月17日)
- 横浜市「自動車臨時運行許可(仮ナンバー)」(ページの最終更新日は2026年7月31日)
- 国税庁 タックスアンサー No.7193 使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度(令和8年4月1日現在の法令等)
- カーネクスト公式サイト(carnext.jp)トップページ(査定・引取・各種手続きの費用、引取の対応地域、申込方法)(2026年11月4日に確認・ページの更新日の記載なし)
資料で確認できたこと
- 日本自動車査定協会の中古自動車査定基準(2026年4月版)に「車検残加点」の表があること。乗用車系は、残り1〜3か月が全クラス0点、24か月で軽自動車30点・乗用車44〜70点、36か月で軽自動車42点・乗用車56〜106点。2026年10月の改定で変わったのは自賠責の残価表のみ(協会の変更箇所一覧)
- 日本自動車購入協会(JPUC)が、車検を取ってから査定を受けるほうが有利かという疑問について、修理代や車検費用以上に査定額が上がることは少ないと思われる、と書いていること
- 国土交通省の資料で、車検の費用が、国や保険会社に払う法定費用(自動車重量税・自賠責保険料・検査手数料)と、整備工場に払う点検・整備の料金に分かれること
- 自動車重量税(2年・自家用・エコカー減税なし)が、軽自動車は6,600円(13年経過で8,200円)、乗用車は1トン以下16,400円・1トン超1.5トン以下24,600円(13年経過でそれぞれ22,800円・34,200円)であること(国土交通省の税額表・2026年5月1日から)
- 自賠責保険料(24か月契約・離島と沖縄県を除く地域)が、自家用乗用自動車18,560円、軽自動車(検査対象車)18,660円で、2026年11月1日以降に保険期間が始まる契約に適用されること(損害保険料率算出機構)
- 車検切れの車の運転は道路運送車両法で禁止され、罰則は6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金・違反点数6点であること。車検切れの車は自賠責保険も切れていることが多いこと。自賠責保険に入っていないと車検を受けられないこと(茨城県警察)
- 臨時運行許可(仮ナンバー)は、法律で決められた目的に限って一時的な運行を許可するもので、申請に許可期間中有効な自賠責保険証の原本が必要なこと、手数料750円、許可期間は目的地により3〜5日以内であること(横浜市)
- 重量税の還付を案内しているのは、車を解体して抹消登録する場合の制度であること(国税庁)
- カーネクストの公式サイトに、査定から引取・各種手続きまで無料と書かれていること、引取は全国出張対応(一部の離島を除く)と書かれていること、申込はWebフォームか電話でできること(2026年11月4日に確認)
確認できていないこと・注意
- 「売ると決まっているなら、車検は通さずに売る」という答えと、「買取額の差は、通す費用ほど大きくない」という見方は、運営者(整備士)の見方です。差の金額・割合・車種ごとの違いは調べていません。
- 査定基準の点数を「1点=1,000円」と読んだのは、協会の計算例(基本価格1,150千円の5%が58と書かれている)の書き方からの運営者の読み取りで、協会がこの換算を明記しているのを確認したものではありません。点数表は査定士が使う基準で、買取店が実際にこの金額を見積に上乗せするかは確認していません。クラスの区分は車種で決まりますが、個別の車がどのクラスかは調べていません。
- 法定費用の例には、検査手数料と、整備工場の点検・整備の料金を含めていません。重量税はエコカー減税などで変わり、自賠責保険料は離島・沖縄県で金額が違います。国土交通省の車検費用の資料は2024年のもので、内訳の考え方だけを参照しました。
- 仮ナンバーの条件は横浜市の案内です。ほかの市区町村では違うことがあります。車検が切れた車を、買取店へ運ぶために仮ナンバーを使えるかは確認していません。
- 車検を通した直後に売った実例や、車検の見積書で整備士がまず見る所は、聞き取りができていないため書いていません。自賠責保険の残りが売却のときにどう扱われるか、売却時の自動車税の精算は確認していません。買取店の見積書で確認してください。
- 運営者(整備士)はカーネクストを利用したことがなく、実際の査定額・対応の良し悪し・引取までの日数は確認していません。カーネクストへのリンクは広告で、このリンクから申し込みがあると、運営者に広告の報酬が入ります。
更新日:2026年11月3日。商品や料金、メーカーの案内は変わることがあります。この記事の内容は、特定の車種や製品で試した結果ではなく、上の資料の内容をまとめたものです。

